1. HOME
  2. コラム
  3. 会計税務の情報
  4. 小規模企業共済

COLUMN

コラム

会計税務の情報

小規模企業共済

はじめに
個人事業主、フリーランスや小規模な会社の役員の方はサラリーマンと異なり退職金が無いため、老後資金に不安を覚える方も多いと思います。
そのため、公的機関から退職金代わりとなる共済制度が設けられています。今回はその制度(小規模企業共済)について解説していきます。

Ⅰ.小規模企業共済とは
小規模企業共済とは個人事業主、フリーランスや小規模な会社の役員を対象とし、毎月一定額(1,000円から70,000円)を積み立てることで、
事業を廃止する時や退職時に積立金額に応じてまとまった金額を受け取れる制度となっています。
また、本制度の在籍人数は2022年3月時点で150万人を超え、国を母体とする公的機関が運営しているため破綻リスクは低い制度と言えます。

Ⅱ.加入資格について
小規模企業共済の加入資格は次の通りです。

1. 従業員数20人以下の建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊・娯楽)、不動産業、農業等の会社の役員や個人事業主
2. 従業員数5人以下の卸売業、小売業、サービス業(宿泊・娯楽以外)の会社の役員や個人事業主
3. 組合員又は従業員が20人以下の企業組合の役員又は協業組合の役員
4. 従業員20人以下の農業を主とする農業組合法人の役員
5. 従業員5人以下の弁護士・税理士法人等の士業法人の社員

なお、アパート経営等の事業を兼業している給与所得者など一定の場合には加入資格がないため、加入時には確認が必要です。

Ⅲ.加入手続について
小規模企業共済へは、「契約申込書」、「預金口座振替申出書」を金融機関等の所管窓口に提出し加入することになります。
また、手続の際には以下の区分に応じた各種書類が必要となります。

区分 必要書類
個人事業主(フリーランス含む) ・確定申告書の控え
開業直後で上記がない場合は開業届
会社の役員  ・3か月以内に発行した法人登記簿
共同経営者 ・個人事業主の確定申告書の控え
・共同経営契約書の写し
・社会保険の標準報酬月額通知書や賃金台帳などの報酬支払の確認資料

Ⅳ.小規模企業共済のメリットについて
加入者への主なメリットは以下の通りです。
① 掛金支払い時の節税効果
支払った掛金は全額が所得控除となり、個人の所得税や住民税の節税効果があります。また、掛金月額は1,000円から70,000円まで500円単位で自由に増減させることができます。
なお、掛金の納付は月払い、半年払い、年払いから選択することができるため、年末に所得金額に応じて決めた掛金を一括で支払うことも可能です。
② 共済金受取り時に税制優遇される
廃業や退職時などに積立金額に応じた共済金を受取る際、所得税計算上は「退職所得」(一括受取時)又は「雑所得(公的年金等)」(分割受取時)として取り扱われ、税制メリットがあります。
一方で、積立途中で任意解約をすると「一時所得」として課税されます。
③ 貸付制度が利用できる
加入者は自身が積立てた掛金の範囲内(掛金の7~9割)で低金利の借入を行うことができます。

Ⅴ.小規模企業共済のデメリットについて
加入者への主なデメリットは以下の通りです。
① 元本割れリスクがある
掛金の納付月数が240か月(20年)未満で任意解約をした場合、受取る解約手当金の額が掛金支払額を下回ることになります。
② 積立期間によっては掛捨てリスクがある
積立期間が12か月未満の場合、請求事由によっては共済金を受取れず、掛捨てになるリスクがあります。
そのため、長期的に掛金を支払う前提で入会を検討する必要があります。

おわりに
小規模企業共済は節税対策を行いながら老後の資金積み立てることができる非常に魅力的な制度です。
そのため、個人事業主や小規模な会社の役員など加入資格を満たしている方は加入を検討されることが良いと考えます。
また、加入に先立って税務面について顧問税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

関連記事